天の川や星座、南十字星の写真を撮ろう

天の川や星座、南十字星の写真を撮ろう


 「天体写真」を撮ってみませんか。

一眼レフデジカメとF値の小さな広角レンズを使って、綺麗な天の川の写真、星座、南十字星の写真を撮ってみましょう。


2009/05/12 牟田淳


デジカメによる天体写真

来間島の天の川来間島の天の川



この写真は沖縄の宮古島市来間島の天の川の写真です。 canon EOS 20Dで撮影しました。「さとうきび畑と天の川」ってとっても好きな写真のひとつです。




最近、デジカメで天体撮影が容易になってきています。理由の一つは「高感度・低ノイズ」のデジカメが出てきているからです。今回は天体撮影の方法を紹介します。






天体撮影に適した撮影場所

天の川や星座を簡単に撮影するためには


「星空がよく見えるところで撮影すること」


が必要です。当たり前のことですが、もともと肉眼でも星空がよく見えていれば、比較的簡単に天体写真は撮れます。星空があまり見えないところでもある程度は天体写真が撮れますが、あまりきれいでないですし、写真加工などが大変です。

それではどんな所が星空がよく見えるかというと、

  1. 晴れていること(曇っていたら星は見えない) 
  2. 都会の光や街灯の光の影響が少ない、都会から離れた街灯の少ない場所であること
  3. お月さまがでていないこと

がまず必要です。




晴れていること(曇っていたら星は見えない)



これは当たり前のことと思われるかもしれませんが、結構重要です。天体撮影旅行に出かけたのに、結局全日曇りまたは雨で星が見えないなんてこともよくあります。そこで、これを避ける方法として2つ紹介します。



天気予報などを活用して天気予報で晴れの夜を調べ、旅行を申し込む


昔は直前の旅行は申し込みにくかったのですが、最近は結構簡単に直前でも申し込めます。例えば天体撮影で有名な野辺山では、当日のお昼ころでも駅前の観光案内所で宿を見つけることができました。そこで、「今夜は晴れそう」ということがほぼ確実になったら、日帰り旅行を変更して宿を予約して天体撮影をするわけです。


天体撮影以外の楽しみも確保しておく

IMG_0552.JPG昼間は観光をします

天体撮影は自然の天気が相手なので、短気の人とかには向きません。そこで、天体撮影以外にもシュノーケリングとか観光地めぐりとかの計画を立てておき、

「もしも晴れたら天体撮影もする」

くらいに考えておくと、曇って星が見えないときのショックも軽減されるでしょう。ちなみに僕は天体写真旅行をきっかけにダイビングを始めました。









都会の光や街灯の光の影響が少ない、都会から離れた街灯の少ない場所であること


星は明るいと見えないので、暗いことが必要です。そのためには、都会の光や街灯の影響が少ないところに行かなくてはなりません。


都心から離れる


大都会の近くだと、郊外でもあまり星は見えません。たとえば厚木市でも、郊外に行っても町田ー本厚木駅方面がかなり明るく、つまり北ー東ー南の方向はあまり星が見えません。そこで、なるべく大都市から離れた所に行きます。



街灯が少ないところ


都心から離れても、街灯があるとまず星は見えません。そこで、旅行に行ったら「街灯がなさそうで天体撮影できそうな場所」というところを昼間のうちに探しておきましょう。



安全で手軽であること


都心から離れて街灯が少ないところで注意することは「安全であること」です。例えば沖縄本島で夜、ひとりで天体撮影をしていたら、ハブにかまれるかもしれません。丹沢で撮影していたら、マムシや熊やヒルが出てくるかもしれません。そういった地域の情報をよく調べてから行きましょいう。特に海外の場合は現地の状況をあまり知りませんから、入念な調査が必要です。

また、撮影場所の足場も昼間に確認して、崖や溝、川などに転落しないようにしておきます。


また、自分が若くなくなってくるとわかりますが、「手軽さ」も重要です。富士山に登って天体撮影なんて若い時でないと無理です。天体撮影は実は海のそばよりも空気が安定している内陸部が適しているのですが、内陸部は結構クマとか毒へびとか危険な動物が沢山います。こういう状況を考えると、



「危険な動物が少ない、宿泊所のそばでも沢山星が見える離島」



がお手軽な撮影場所です。





撮影場所の例



安全性、お手軽さ、街灯が少ない、都心から離れているという条件を満たすところとして、たとえば

  1. 宮古島
  2. 小笠原
  3. 伊豆七島(大島など)

が挙げられます。宮古島は東京から3時間で行けますし、沖縄なのにハブがいませんし、昼間はレジャーが沢山あるので退屈しません。小笠原もシュノーケリング等、昼間も退屈しないのでお勧め。




お月さまがでていないこと

IMG_0647.JPG月が出ていると星はほとんど見えません
お月さまはとても明るいので、お月さまが出ているとまずほとんどの星は見えません。というわけで、月が出ていない時間帯を調べてから天体観測に行きましょう。

月は太陽と同じように東から昇って西に沈みます。
ですから月が西の方にあればもうすぐ沈みます。
月がいつ頃でていつ頃沈むかは国立天文台のページ
http://www.nao.ac.jp/koyomi/
で調べることができます。これによると、2009年はたとえば夜9時~夜12時に東京で3時間連続で天体撮影をしたいときは、



5/16~5/26くらい
6/17~6/24くらい
7/17~7/25くらい
8/16~8/25くらい
9/14~9/24くらい
10/13~10/23くらい
11/10~11/21くらい
12/9~12/21くらい

に観測に行くとよいでしょう。ただし、標高などによって多少変わりますし、
http://www.nao.ac.jp/koyomi/
にあるように、場所によっても結構変わります。



カメラ、レンズの設定

アートのための数学に書いてあります。

LinkIconアートのための数学



天体撮影しやすい星座、天の川

夏の天の川とさそり座

下地島の天の川とさそり座下地島の天の川とさそり座


天の川は7~8月頃が最も美しく見えます。

天の川は実は冬にも見えていて、たとえばオリオン座付近にも天の川がありますし、カシオペア付近にも天の川があります。しかし、いて座~さそり座付近の天の川が一番明るく、綺麗で見やすいのです。7~8月頃はそのいて座と天の川が夜によく見えます。

しかも日本から見るさそり座付近の天の川はちょうど地平線から上の方に見えて、地上の景色と一緒に撮影するのに絶好のところに天の川があるわけです。

人の好みにもよりますが、天体写真は「地上の景色」と一緒に撮影してこそ、個性が出ます。「地上の景色」がない天体写真はカメラの機材でほぼ決定してしまうので個性が現れにくく、あまり面白くありません。





冬のオリオン

orion.jpg

冬はオリオン座でしょう。がんばって撮影してください。





















南の国に行ったら南十字星を撮ろう


410ef246.jpg


オーストラリア、ニューカレドニアとかに行ったら南十字星を撮りましょう。南十字星は天の川にの中にあるので、天の川をたどっていくとすぐに発見できます。






















参考資料

参考文献

(0)「アートのための数学」,牟田淳著,オーム社,2008