SF・神話と学ぶ物理学

数え切れない神話、アニメは『科学』と関連しています

SF(Science Fiction)という言葉に代表されるように、科学(Science)は小説(Fiction)と密接に関連してきました。たとえば永遠の名作『銀河鉄道の夜 宮沢賢治著』では、天の川を軸に南十字星などの様々な星座が顔を表します。『銀河鉄道の夜』から天の川にある様々な有名な星座を学ぶことができるのです。



 時をさかのぼると、聖書など、世界中の神話にはたくさんの『天地創造』の話があります。これらはこの世界がどのようにして作られたか、ということをそれぞれの民族が考え出したものです。現在ではこの『天地創造』という神話は137億年前の『ビッグバン』という大爆発で宇宙が誕生したことが科学の言葉でわかっています。

 現代のアニメ、マンガも科学の影響を強く受けています。日本歴史上最も感動的なSFアニメ、『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』を作った偉大な松本零士氏や『鉄腕アトム』を作った手塚治虫氏も、科学の影響を強く受けて名作を創り出しました。

SF・神話の物理学~科学の神秘的な側面を知る~

 このように、『科学』は神話、文学、アニメ、マンガと深く結び付いています。後で詳しく紹介しますが、実は芸術とも深くかかわっています。これはおそらく『科学』の持つ神秘的な側面が芸術、神話、文学、アニメ、マンガを作る上で重要な意味を持つからでしょう。

アニメ、マンガ、アート系の方へ

そうであるならば、この『科学』の神秘的な側面を学ぶことは、これらの創作活動をするうえで、様々なアイデアを与えてくれるでしょう。もちろんこれら科学の神秘的な側面を知るだけならば、高校物理のような難解な数式に触れる必要は全くありません。数式を学ぶのは理系の人間だけで十分です。物理学の持つ数学的な側面を無視して、物語として科学の神秘的側面を学びましょう。

理系の方へ

では理系の人はどうでしょう?実は理系の人間も、『科学』を学ぶのは数学が好きだからでは(ほとんどの場合)ありません。やはり、ほとんどの場合、『科学の持つ神秘性』に惹かれて理系の世界に入ったのではないでしょうか?

僕は中学生のとき、不朽の名著、『物理学はいかに作られたか アインシュタイン著、インフェルト著』を読んで、まるで小説を読んでいるように数式を全く使わず、それでいて、この世界の仕組みを見事なまでに説明するアインシュタインに深く感銘を受けました。理系は最終的には『数式』を使いますが、その前に科学に深く感銘しなければなりません。というわけで、やはり物理学の持つ数学的な側面を無視して、物語として科学の神秘的側面を学びましょう。

このページの構成について

 このページは『東京工芸大学芸術学部』で東京工芸大芸術学部准教授である牟田淳が行っている『物理学概論』をもとに、科学のSF,神秘的側面を知ってもらうためにより多くの学生、一般人に読んでもらえるよう、色々書き直したものです。表現、内容についてはしばしば更新します。週一回をめどにページを増やしていく予定です(あくまで予定です)。

内容(予定)

  1. SF・神話の物理--鉄腕アトム、銀河鉄道999、聖書、アートの物理--(6/6予定)
  2. 『銀河鉄道の夜』の物理--南十字星を『銀河鉄道の夜』から学ぶ--(6/13予定)
  3. 世界の果ての物理--素粒子から宇宙のはてまで--
  4. 虹と音色の物理
  5. 青空、夕焼け、青い海の物理
  6. 宇宙に永遠不変を探し求めたアインシュタイン--宇宙の創生とアインシュタイン「生涯最大の過ち」とは?--
  7. 私たちは星屑の子供たち--元素は星屑で作られた?--
  8. オーロラは太陽からの手紙--光が生まれる仕組み--
  9. 宇宙はどれくらい寒いの?--ホワイトバランス、色温度--
  10. 不思議の国のトムキンス--時間とは?--
  11. 宇宙に終わりはあるのか--宇宙の将来--
  12. ミクロな世界とパラレルワールド?--量子の世界--
  13. ディラックの海、陽電子砲?とは--量子の世界2--

(参考)東京工芸大芸術学部2008年度の『物理学概論』授業概要

何故、人は夜星を見上げるのだろう?美しいオーロラはどのようにしてできるのだろう?銀河鉄道999のようにサイエンスフィクション(SF)を取り入れた作品に何故人々は惹かれるのでしょう。 SF作品に代表されるように、自然科学は芸術に様々なインパクトを与えてきました。自然科学は芸術と深い結びつきがあるのです。

この授業は3部構成となっています。まず第1部では、南十字星などの星座、SFとの関係、大宇宙から原子などの小さな世界までの魅力を紹介します。第2部では主に音と光を学びます。色とは?光とは?なぜ空が青く、夕焼けが赤く、海が青いの?海の中の音はきれいに聞こえるの?などの話題を通して、音、光の不思議を理解します。

中心となる第3部では、オーロラ、宇宙などについて学びます。自然科学の中でも、オーロラ、宇宙関連の話題は人々を惹きつけます。「アインシュタイン生涯最大の過ち」では永遠を手に入れようとした人間アインシュタインの物語も紹介します。

第3部では、ミクロな世界の不思議についても学びます。ミクロな世界ではSF作品でしばしば現れる「パラレルワールド」の話も出てきます。「事実は小説よりも奇なり」なのです。これらの授業は全て文科生向けに作られており、ほとんど数式はないので、安心して受講してほしい。